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2020年10月21日

コミック

扇島歳時記①

高浜寛

リイド社

¥ 980(税抜)

高浜寛による「長崎三部作」最終節が刊行されました。
『蝶のみちゆき』、『ニュクスの角灯』、そして『扇島歳時記』。
三部作を通して描かれる14年の月日の中、日本は幕末から明治へと、大きな転換期を迎えます。

そんな怒涛の時代に生きる、遊廓生まれの禿(かむろ)・たまをが本作の主人公。
禿(かむろ)とは、遊女たちの身の回りの世話を任される、14~16歳くらいの少女のこと。
大人になれば遊女となる運命を背負っています。
その運命を静かに受け入れつつも、かつての姉女郎・几帳の「お前は大人にならんでええ・・・」の言葉の意味を測りかねるたまを。

”大人っていつからなるもんですの?”

純真無垢なたまをの心とは裏腹に、待ってはくれない時の流れ。
季節は、少女を大人へと連れ去る無常さを孕みながら、絶えず移ろいゆきます。
それでも、愛すべき瞬間のひとつひとつを丁寧にすくうように生きるたまをは、胸の内に抱えるものにくるしむ人びとを、知らぬ間に励まし支えているのでした。

四季折々の情景をとおして描かれるのは、たまをを中心とした、市井の人びとのそれぞれの営み。
歴史の教科書には残されていないそれらへ、思いを馳せてみませんか。