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2020年7月11日

文芸

持続可能な魂の利用

松田青子

中央公論新社

¥ 1500(税抜)

 

「おじさん」から少女たちが見えなくなる。
(=「おじさん」から見られる、ということから少女たちが解放される。)
そんな楽園に向かうまでを描いた、女性たちの物語。
 
舞台は、現代の日本。社会の至るところに見え隠れする様々な違和感について、登場人物の目を通して、細部まで疑問を呈していく。

あらゆる疑問を抱え、この現状に「NO」を突き付ける勇気を持った女性たちの心が繋がっていくことで、「おじさん」を倒すためのある革命が起きる…!
 
本書の最重要ワード、鉤かっこでくくられた”「おじさん」”。

「おじさん」とは、いわゆる、ある程度の年齢に達した男性を指しているのではない。
本書における「おじさん」とは、年齢や性別に関わらず、女性に対して理想像を描き、(意識していようと、いまいと)それを基準とした物差しで相手を測って良し悪しを判断し、性的・社会的に脅かさんとする存在。
 
その目にジャッジされる機会の、何と多いこと。
本書はこの日常を、往年のヒット曲をもじって「毎日がレジスタンス」と表現。これまでの違和感についに名前がつけられ「これだ!!!!!」と痛いほど膝をうつ。

 
当たり前のように「毎日がレジスタンス」状態な現状がいつか、「かつて、こんなに異様な、奇妙な時代があったんだって」「それはひどいね」「信じられないね」なんて語られる未来は、必ず到来する。
そんな未来に向かいたいと思う心を肯定し、寄り添い励ます本書を読んだ今だからこそ、そう確信できる。