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山山

松原俊太郎

白水社

¥ 2160(税込)

第63回岸田國士戯曲賞が『山山』に決定しました。作者は、熊本出身の劇作家・松原俊太郎さんです。岸田賞は、演劇界に新たなる新風を吹き込む新人劇作家の奨励と育成を目的に、1955年から続く賞で、新人劇作家の登竜門と言われています。『山山』はすでに上演されたことがあり、その時の紹介によればあらすじは…

立入禁止区域。かつてそこに暮らしていた家族が我が家に戻ると、作業用ロボットと外国人労働者による除染作業が行われていた。山に分け入る一行。山から降りてくる鬼。放蕩息子の帰還は状況に変化をもたらすのか。
労働と愛(チェーホフ)、生と死(ベケット)、あらゆる表象と紋切り型(イェリネク)、そして「アメリカ」の「偉大な」作家ハーマン・メルヴィルの『バートルビー』をモチーフに、かつては美しかった山と汚染物質の山の狭間で暮らす家族たちの新たな抵抗を描く。

といった内容。実際読んでいただくと感じていただけると思うのですが、奇妙に長い独白が、奇妙に歪な言葉遣いが、なんだか怖いようでおかしいようで胸騒ぎがします。本書には7名の選考委員による選評が載った冊子が挟み込まれているので、受賞作決定までの経緯・雰囲気がおおよそ明らかになっているのですが、その異物感は、おおいに戸惑われたり絶賛されたりした模様です。ぜひ実際に読んでみてください。

岡田利規さんの選評より─詩的でありながら理屈っぽくもある、なんとも独特の言い回しで鋭く言い当てる言葉が充溢している。

宮沢章夫さんの選評より─誰に向かって発しているのかわからないまま語られるが、放たれた言葉の強度は高い。